ダン・ブラウン著「オリジン」角川文庫(越前敏弥 訳)オリジン=訳:起源
映画「ダ・ヴィンチ・コード」が有名なロバート・ラングドン教授シリーズ(トム・ハンクス主演)の「オリジン」
歴史と美術の謎解きアクションなので、スペインに旅行するなら行く前に読むのがおすすめです。観光がより面白くなります。
「オリジン」ではシリーズで初めて現代建築が作品の舞台として登場しました。
建築家フランク・O・ゲーリーの「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」です。
小説の舞台となる国とテーマ
これまでのラングドン教授シリーズの舞台となる国とテーマはこちら
2003 ダ・ヴィンチ・コード フランス ルーブル美術館 最後の晩餐
2009 ロスト・シンボル アメリカ合衆国 ワシントンD.C. フリーメイソン
2013 インフェルノ イタリア バチカン王国 ダンテ 神曲 病原菌
2017 オリジン スペイン ビルバオ バルセロナ ガウディ 人工知能AI 科学 宗教
歴史美術が好きな人はハマるはず、旅好きもハマるはず。
建築が舞台の小説が少ないなか、ダン・ブラウンは歴史と美術と建築を舞台に、科学や技術を盛り込んだ壮大な展開するのが特徴です。

今のところ舞台は欧米中心なので、アジアが舞台になる日を心待ちにしています…
「オリジン」で初めて現代建築が舞台として登場
これまでは世界遺産クラスの歴史的建造物がメインでしたが、「オリジン」で初めて現代建築が舞台として登場しました。
ビルバオ・グッゲンハイム美術館
スペイン、ビルバオ市のネルビオン川沿いに建つ美術館です。
建築家フランク・O・ゲーリーの代表作。

Photograph taken by MykReeve/ Wikipedia

六本木のクモがいる
ビルバオ・グッゲンハイムの詳細はこちら↓
小説の主人公、ラングドン教授からみたビルバオ・グッゲンハイムはこうです。
スペインのビルバオにあるグッゲンハイム美術館は、異星人の幻覚から飛び出したような外観をしている――ゆがんだ金属の型が渦巻き状に組み合わせられ、それぞれがでたらめに支え合っているふうに見える。はるか先まで延びる無秩序な塊は、三万枚以上のチタン板で覆われており、それが魚の鱗のように光って、有機的でありながら地球のものと思えない雰囲気を漂わせるさまは、まるで未来の海獣が日光浴のために岸へ這いあがってきたかのようだ。
「オリジン」より引用
小説で建築への描写が細かく、建築専門家以外の表現はとても豊かです。
このビルバオ・グッゲンハイムが舞台となって物語がテンポよく進みます。
出てきません。バルセロナと言えばの建築ですが、残念。
バルセロナ・パビリオンについてはこちら

「オリジン」に登場するスペインの歴史的建造物
オリジンで登場するスペインの名所です。
ラングドンシリーズは情報量が多いので、いつも検索しながら読み進めています。
モンセラットの丘
カタルーニャで幼少期を過ごしたガウディの原風景となっているモンセラットの丘。
ガウディが設計した「サグラダ・ファミリア」のかたちや雰囲気が連想されます。
サグラダ・ファミリア|世界遺産
言わずと知れた聖家族教会です。オリジンではこのサグラダ・ファミリアで豪快にアクションします。
映画化してほしいけど無理じゃない?でも見てみたい。

実際に行ったことあると「あそこで?狭くない?」とハラハラ
カサ・ミラ|世界遺産

Photographed by Thomas Ledl
サグラダ・ファミリアの次に人気のガウディ建築、集合住宅、交差点にあるのでとても目立ちます。
実際に暮らしている人がいる現役の建築ですが、エントランスホールや見学フロア、屋上庭園などが見れます。
ユニークでうつくしい異世界が体験できます。
エル・エスコリアル修道院|世界遺産
物語の舞台として普通に登場します。検索しなければわからない。
1563-84年 造営。宮殿、修道院、博物館、図書館の複合施設。

大きいもんね
まとめ
シリーズはこれまで格式の高い建築が舞台でしたが、「オリジン」では新しい建築が登場しました。これにより小説自体の印象も新しくなました。
また、大きなテーマの人工知能AIがどういう働きをするのかのストーリーは、いま現在の話としてとてもリアリティがあります。
AIの活用がまだ少し先の話だからこそ面白い。
フィクションとはいえ膨大な情報が詰め込んである小説ですが、展開の速さに引き込まれます。
この情報量を整理して話を作るエネルギーがすごい。
歴史を相手に謎解きアクションをするインディ・ジョーンズ風ではなく、近未来志向の謎解きアクションです。
映画化しないかな。
ダ・ヴィンチ・シリーズに関するエントリはこちら
