設計事務所を目指したいと考えている人へ
建築は楽しいし面白いから、建築に興味を持つ人が増えるのはとてもいい。
建築への思いが強過ぎて、設計事務所だ!と盲目的になっていたら、いったん落ち着いて。
ちょっとココアでも飲んで考えよう。たまにはコーヒーじゃなくココアだ。
ココア > テオブロミン > セロトニン(幸せホルモン) > リラックス効果!
結構見落としがちで、でも根本的なことだと思う。
もう一度考えよう その答えは本当に設計事務所なのか
自分が設計したいのか、建築を楽しむのが好きなのか
そもそも 建築が好き って、建築のなにが好きなのか。
建築が好き ≠ 設計したい
≠ ノットイコール:等しくないという意味
自分で経験してやっと納得できた感覚がある。
建築が好き ≠ 設計したい ←これ
建築が好きだから設計したい は強引な結びつけだった。
建築が好き=設計したい これを当たり前だと思っていた。
建築に感動して=好きだと思って、だから設計したいと思った。私もやりたい!の挙手。
”お客さんの要望聞いて、法的制限をクリアして、自分の考えをもとに、建築を作る。
それでお客さんが感動してくれたら、なんてすばらしいんだろう、とか思ってた。
私は建築を見ること 体感すること が好きだった
建築のしかけ、そのかたちや配置の意図、そういうのがわかるとテンションが上がる。
アトラクションと同じ。巨大迷路やダンジョン、テーマパークのようなワクワクと同じ。
バイオハザード
建築うんぬんをまだ何も知らない高校生の頃、バイオハザードにハマったのは、建物や街を探検するのが面白かったから。
RPGみたいに全体を俯瞰した状態で歩き回るのではなく、
この角を曲がったらどんな街並みが広がっているのか、自分の視界で探検する感覚がとても面白かった。
このドアを開けたら何があるのか。どの部屋につながっているのか。
ゾンビが飛び出してくるからいちいち怒ってたけど楽しかった。
建物探訪
渡辺篤の建物探訪、なんで人気かって、個人宅が見れるからだよね。
ひとさまのお宅拝見なんて機会は滅多にない。しかもそれが素敵なお家なんだからとても面白い。
しかもめちゃくちゃこだわってんの。本気だからこだわる。ひとのこだわりほど面白いものはない。
理解できないもの、共感できるもの、そういうのが面白いと思って大好きだった。
どれもちょっとキレイすぎる旅行
旅行
旅行なんてもう楽しいの極み。場所が違えば形も色も大きさも量も変わる。
そんなの当たり前だと思って気にしていなかったけれど、そういう地味で小さいことが積もって面白いに変化する、あれ、なに?
世界遺産、重要文化財、新しい建築、住宅街、門構え、植栽、そういうの全部が楽しい。
ちょっと古い旅館に泊まればとにかく探検したいし、謎の階段は登りたいし、庭園も歩き回りたいし、風呂はどこだ、気持ちがいい!ご飯がおいしい!しあわせ!
こういう旅行から始まる全部が楽しい。
巨大迷路、お化け屋敷、そういうアトラクションと同じ。
賞賛したい
ちょっと言い方悪いけど、誰かが精一杯考えて考えて努力して作り出した建築を
素直に楽しんで、感動して、ここがすごい あれがすごいとフンフンしてるのが面白かった。
へえええと感嘆したい、設計者の思想を知りたい、工夫にのけ反りたい。
自分が見たことないものが そこにあること、それに驚かされること。
単純に面白いでしょ、そういうのが好きだった。
だから体感する側、鑑賞する側でいたら、建築を素直にずっと楽しんでいられたのかも。
そして建築の大変さを知ったからなおさら、心から賞賛できる。
設計事務所はうわさ通りのハードワーク
事務所はちょっとハードワークすぎて、楽しむ余裕なんてなかった。
でも事務所に入ったからには吸収しないと損だと思って、ちゃんと雑誌読んで興味あるフリしてた。
本当はもう関わりたくないと思っていたけど、ひたすら隠していた。
無理して自分を騙しているような感じだから、不調を来すのも時間の問題で、来してからは展開が早かった。
あれ、なんの話?
勢いまかせ は体力勝負
これ、自分が建築のなにを好きかを突き詰めずに、ただ好きの勢いだけでコマを進めた結果だと思うのね(今となっては)
勢いありすぎると細かいところを飛ばしがちだから、ちょっと真面目に考えてみるのは大事。茶化さないこと。
もし話をするのではれば、同じように建築熱の高い人ではなく、建築以外の人だとか、建築にのめり込むまで行っていない人がいい。
周囲との温度差を実感する、くらいでいい。
自分の建築熱が高いということを少し自覚しておくこと。
みんな背中を押してくれる。
「やりたいことがあるのは素晴らしい」
「思いっきりやりたいようにやるのがいい」
異論なし。わたしもそう思う。それで動いた。
実際に事務所で動いていくうちに、考えは変わるし、想像していたのとも違うし、いろんなズレが出てくる。
その時に、そもそも自分が何をしたかったのか、いつでも立ち返られる指標を持っておくのが大事。
勢いを味方に飛び込んだあと、その流れにうまくのって、それでも体力勝負なのは変わらない。
かっこいいなこれ どこだろう
設計者にならなくても建築を楽しむ方法はいくらでもある
生きてるだけで、もう建築に囲まれているのだから。
趣味:建築 もいいと思う。
新しい建築や、電車から見える街並みや、訪れた旅先に、面白い建築がある。
アートやデザインの重要性はより大きくなっているから、面白い建築はもっと増える。
事務所を目指している時から挫折するまで、建築熱が熱々だったころは「趣味:建築」をちょっとバカにしてた。
設計に至らないということを「能力がない」と思ってちょっと生意気だったよね。完全な若気の至り。
そういう「趣味︰建築」の人たち、めちゃくちゃ優しいの。すごく褒めてくれる。もういいよってくらいに褒めてくれるんだよ。
その意味が今ならわかる。ごめんなさい。調子に乗ってた。
建築好きなら、どの立ち位置でもいいじゃないか。
それでも設計事務所に行く!
建築家になりたいし、だから設計事務所だ、って揺るぎないのなら大丈夫。
周囲の引き留めや、事務所のうわさ話なんて無視だ無視!
不調は無視しないこと
体調を崩す前に手を打つこと。