建築家フランク・ゲーリーの代表作2つ|さくっと紹介

ビルバオ・グッゲンハイム美術館 フランク・O・ゲーリー

Falkenpost / Pixabay

ダイナミックにカーブする壁を得意とする建築家 Frank Owen Gehry

フランク・オーウェン・ゲーリー

アンバランス刺激的な外観は、これからのVUCA時代そのままを表しているかのようです

これまでの機能主義、合理主義に異を唱えるゲーリーの代表作2つをさくっと紹介します

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建築家 フランク・ゲーリー

Frank Owen Gehry フランク・オーウェン・ゲーリー

1929年生まれ カナダ出身の建築家

2019年現在 90歳 現役の巨匠(建築家の長生き説は本当ですね)

Wikipedia : フランク・ゲーリー

ゲーリーの建築は脱構築主義と言われています。

脱構築主義の建築とは

  • モダニズム(機能主義・合理主義)を問い直すもの
  • 破片のような形状
  • 高度な解析を要するかたち:非線形
  • 表層に対するこだわり
  • 歪みや混乱を起こす、まっすぐではない直線
  • アンバランス予測不可能かつ刺激的外観

ハサミで紙をザクザク切って丸めてつくる

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学生の頃、ゲーリーの映画が上映されたのを見に行きました(マイナー)

そこで見たゲーリーの建築の検討のしかた(作りかた)は、紙をハサミでザクザク切って丸めたり曲げたりする手法でした。

建築のかたまりを作るのに、ぺらぺらの紙を切って貼る、というかたちの作りかたにとても驚いたのを覚えています。

フッカ

隣の席の人も驚いていたよ

そして、時代の先端を走るのが「若手」ではないというのも衝撃でした。

おじいさん手前の人が、こんなにキンキンに尖った建築をつくるなんて、という驚き。

巨匠はレベルが違う

飛び抜けてる

出来上がったかたちは見れば納得、「ハサミで紙を切って作った」感があります。

どうやって作ったかを知らないと不思議だけど、その過程を見ると腑に落ちますね。

アメリカ ウォルト・ディズニー・コンサートホール

アメリカ合衆国ロサンゼルス 2003年開館。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館 フランク・O・ゲーリー

Falkenpost / Pixabay

再登場、この写真。

大きくカーブする外壁は、一般的なステンレスよりも錆びにくい高耐食ステンレス綱です。

一枚の大きさが 約1.2m×3m、厚みが0.8〜2.0mmい!!

フッカ

どうやって取り付けてるんだろ

角度を変えて、もう少し上から、もっと引いてみます。

waltdisneyhall

Photographed and uploaded by Geographer at en.wikipedia

なんと!角度を変えてもかっこいい

あきらかに異質なのに、まわりの風景に溶け込んでる謎。すごい。なんで?楽しい。

写真手前の駐車場や、うしろに建つビルの色と同系色です。

 

ステンレスに反射する光の加減や陰影が、カーブする曲面にさらなる変化をもたらしています。

これがかっこいいのか。素材を用いるだけで生じる自然な変化、というのが。

 

なにがかっこいいのかうまく噛み砕けないけれど、感覚はかっこいいと感じている。

平野啓一郎 著「かっこいいとは何か」を読んでいるので、解説できるようになったら追記します

建築の脱構築主義〜とか本気解説は専門家におまかせするとして、わたしはただただ形を愛でます。

大きい、変なかたち、金属、かっこいい、楽しい。

 

立地はここ↓旅行の際はぜひ

 

そもそもわたし、この写真をスペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館だと勘違いしていたんですね。

で、テキストにしようと思って改めて調べてびっくり、違いました。ディズニー…

 

え?じゃあビルバオ・グッゲンハイムは?

 

調べました。

スペイン ビルバオ・グッゲンハイム美館

bilbao

Photograph taken by MykReeve/ Wikipedia

これだ、スペインの川沿いの美術館。1997年開館。

ビルバオ市、ネルビオン川のたもと。着岸した大型船みたい。

ディズニーと似てる…

この美術館のカーブする壁はチタン合金です。

チタン合金は軽く、強く、錆びない。さらに熱や電気にも強く、人体に金属アレルギーを起こしにくい素材です。

 

金属の中でも上位性能のチタン合金を使うことで、沿岸でも錆などの問題が生じないよう最適な素材を選んだのだと思います。

ディズニーのコンサートホールでは外壁にステンレスを使っていましたが、それは立地が街中であり川や海などの塩害などを気にする必要がなかったからですね。

 

グッゲンハイムもディズニーも似たような外観なので、同じ素材かと思っていたら違いました。

調べてみるもんですね

 

※ ビルバオ・グッゲンハイムが舞台となった小説の解説はこちらです

 

ちなみに「ビルバオ グッゲンハイム」で画像検索するとこんな写真が並びます。

scsho

なにが言いたいかというと、みんなおなじ側から写真を撮っている、ということです。

あきらかにネルビオン川側から見るのがかっこいいようで、みんな川の向かいから撮っています。

 

設計者はどこをこの建築のメインの顔とするか、その眺めを意識して作っています。

で、見る人はちゃんとそれを拾いますね「ここがかっこいい」と。すばらしい。

 

ただ、川側でも撮影の方向が異なるのにそれぞれがちゃんとサマになるというのは、ゲーリーのかたちへのこだわりがあってこそだと思います。

ゲーリーのけんちく好き

わたしはこの写真群を見て、曲線・曲面で作られた建築はあたまの中での想像がむずかしいんだなぁと実感しました。

 

「向こうに行ったらこう見えると思っていたけれど、実際行って見てみたら全然違った」という感覚です。

「あ、こっちからはこんな風に見えるんだ」という意外性ですね。

そしてこの意外性は「気づいたら、その次にはふっと消えてしまう」さりげない感覚です。

このグッゲンハイムはふつうの建築よりもスケールが大きいですが、その大きさにつられて、ひとが感じる意外性までも大きくなるように思いました

さりげないはずのものが「意外!」という大きなインパクトを持って現れると面白さに変わる、この感覚の変化が楽しい。

小さいものが大きくなるだけで面白くなる不思議です。

 

ゲーリーの建築をおもしろいと思う理由は、想像がむずかしい曲面・曲線によってたくさんの意外がうまれるからです。

(わたしの頭の中の)想像が追いつかないこと、想定外のかたちが現れることの面白さ。

 

だから実際見て、周りや中を歩いて体験してみたくなります。

画面のなかの写真を眺めてすら「意外!」と思ったのだから、実物はもっとすごいはず。

ああ 見に行きたい

神戸市 フィッシュダンス|オブジェ

ちなみに日本にゲーリーの建築はありませんが、オブジェなら神戸にあります。

1987年設置、高さ22mの「フィッシュダンス」、メリケンパークの鯉だそうです。

fishdance

Photograph by 663highland / Wikipedia

ウロコは亜鉛メッキの金あみ、ライトアップでスケスケです。かっこいい。

亜鉛メッキはサビにくく屋外でよく使われますが、傷がついてしまうとサビが出て広がります。

神戸港、海沿なので塩害ですね(海水の塩分でサビの進行は2倍速です)

fishudabce

Photograph by ALL-A blog

現在はサビが広がっているようですが、それが金属素材らしさでもあります(良し悪しはひとそれぞれ)

VUCAがかたちになった建築

ゲーリーは大きくカーブする面や線、自由なかたちを用いて建築をつくります。

これまでの建築の主流はシンプルでムダのない建築でした。
それに対し、自由なかたちの建築はさまざまな「理」に沿わないことから「デザインの斬新さだけ」「かたちありきで意味がない」などの批判も受けてきました。

ロジック(論理)よりもエモーション(感情 直感)が優先されたようなゲーリーの建築は、これからのVUCAの時代そのままを表現しているようです。

VUCA ブーカ
Volatility 変動性
Uncertainty 不確実性
Complexity 複雑性
Ambiguity 曖昧性
2010年頃ビジネス用語として広がるまでは軍事用語でした
設計当時のゲーリーがVUCAの時代を見すえていたかはわかりませんが、

「時代を先行く建築に、社会がやっと追いついた」ということは「ゲーリーの建築が時代の流れをつくった」とも言い換えられます。

また社会が変わることで「建築のかたち」と「社会のあり方」が一致するという合理性も生まれました。

 

予測のつかない自由な社会に変わっていく流れのなかで、これまでないがしろにされてきた「感情や直感」が社会にとって価値あるものとして取り戻されるとき、

ゲーリーの建築が社会にとってより親しみやすい存在となるのではないでしょうか。

もうなってるか

一度体感してみたいです、生きてるうちに一度は見てみたい。

せめてビルバオ・グッゲンハイムだけでも行けたらいいな。

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ゲーリーがハサミで紙をザクザク切る映画

※ ビルバオ・グッゲンハイムが舞台となった小説の解説はこちらです

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